Tおやじの日記帳~TakaWata’s diary~

主にPTA広報紙、その他の話題を書いてます!

卒業式の祝辞を暗記した話

 

中学校のPTA会長祝辞

とにかく緊張を隠したい

2年前、私はブログで紹介しているi中学校のPTA会長を務めていた。6月のi中学校統合60周年記念式典、文化祭、数度の役員会を終えて、残る大きな仕事は卒業式と入学式くらいになっていた。

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息子の卒業式を終えたあと。

 11月頃から卒業式を意識した。PTA会長の大仕事は卒業式の祝辞である。この時からさかのぼること3年前にO小学校のPTA会長として祝辞を述べたが、あまりの緊張に手が震えてしまったのをよく覚えている。

 

O小学校は小規模校で、その時の卒業生は8人だったが、保護者や先生方、来賓の方々がズラリと並ぶとさすがに緊張する。ましてや卒業式は学校にとって最大の大行事である。失敗は許されないと思うと緊張度はMAXに達する。

 

あまりの緊張に息子の晴れ姿をよく覚えていないのが正直な気持ちだ。ただ、息子に対して壇上から祝辞を述べられたのは一生涯の思い出となっている。

 

中学校PTA会長として卒業式に臨む

中学校は早いうちから祝辞の準備をしようと思った。3年前の小学生相手とは違う。中学校の卒業生は15歳。こちらの言っていることは全て理解する年齢だ。

 

私は一般の人より特に緊張するタイプである。小学校は卒業生が8人、全校生が当時60人くらい。先生、保護者、来賓を合わせても100人くらいだった。

 

しかし中学校ともなると人数も増える。小規模校といえども卒業生は53人、全校生は150人以上。先生保護者来賓を合わせると500人以上はいるだろう。

www.takawata.net

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手が震えるのはカンベンだ

私は緊張すると手が震える。それを人に見られるのはとても恥ずかしいと思っている。私としては息子とその同級生たちの晴れ舞台、そして義務教育修了という大きな節目にPTA会長として堂々と落ち着きながら祝辞を述べたいと思っていた。

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しかし間違いなく緊張する。いや、あの場で緊張しない人間はいないだろう。緊張するのは仕方ないが、祝辞を書いた紙を持って手が震え、それを見られるのがとても耐えられない。

 

そこでひらめいた!

そうだ。暗記すればいいんだ!暗記さえしてれば、話している間、手は後ろに回して隠せる。その安心感があれば落ち着いて祝辞を贈れる。

 

しかし暗記と言っても容易ではない。卒業式は学校にとって一番大事な行事である。もし途中で頭が真っ白になって止まったら…。怖い。

 

だがまだまだ時間はある。私も出来れば落ち着いて息子へ祝辞を贈りたい。よし、やってみようではないか!

 

まず原稿作成

気持ちを込めた祝辞を作る

暗記しようと思ったら簡単な文章がいい。しかし卒業生は自分の息子や息子の大事な友だちがいる。この学年は近年稀に見る生徒同士の仲の良さが評判で、なかなかこういう年はないと先生から聞いていた。

 

簡単な文章で済ませるのはどうも私としては勿体ない。よし、気合いの入った祝辞を作ろう。要は完璧に覚えればいいのだ。

 

作成に3日くらいかかった

どうも自宅では思い浮かばない。不思議と会社で仕事をしながらだと次々とアイデアが出てくる。その都度メモを取った。家に帰ってまとめるという作業を繰り返した。

 

ようやく完成

何とか出来上がり、会社にある在庫紙の和紙を使って完成した。本番用と練習用を用意して、何度も何度も読んだ。

 

またも仕事をしながら人に見られないようにブツブツと練習した。ある日社長に「緊張するから暗記を練習している」というと「やめたほうがいいよ。もし忘れたらどうする?手が震えるのなんて見られても会長の祝辞なんてみんなすぐ忘れるから。きちんと最後まで読んだほうがいい。緊張しない人なんていないから」と言われた。

 

その通りだ。しかし手が震えるのもイヤだが、落ち着いて祝辞を述べたい。暗記が成功さえすれば、退屈な祝辞でも気持ちを込めて話せる。卒業生一人一人の目を見て話せる。どうせやるならこの方がいい。

 

何とか覚えることが出来た

何十回練習したことか。ようやく覚えた。しかし3回暗唱すると1回は途中で止まる。これではいけない。本番でその1回が訪れたらどうする。

 

本番前日

そして磨きがかかった!失敗は10回に1回となった。後は本番の緊張の中でどれだけ落ち着けるか?

 

教頭先生にお願いして、会場で練習をさせてもらった。気を利かして教頭先生は私を一人にしてくれた。

 

一通り練習をする。来賓席から名前を呼ばれ、来賓に一礼、ステージに上がる前に校長先生に一礼、ステージに上がり国旗・市旗・校旗に一礼、そしてマイクの前に来て一礼。

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卒業式前日の会場をステージから撮影。

会場はシートが敷かれ、椅子がズラッと並ぶ。誰もいないが緊張感が漂う。そこで3度くらい練習した。

 

S先生が心配して見に来てくれた

すると誰かが入って来た。3年主任で広報担当のS先生だ。私が練習しているのを知って見に来てくれたらしい。ステージ上で少し話をした。緊張で張り詰めている私の心が和んだ。

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ほんとにお世話になりました!

こういう時に心配してくれて本当に有難い。主任として、広報担当として頑張ってくれているS先生にも、素晴らしい卒業式となってほしいと思った。

 

卒業式当日

朝から緊張が続いていた

控室の校長室に一番乗りして時を待っていた。3人の副会長さんたちが雑用をこなしてくれて有り難かった。

 

次第に同窓会役員やら地域の大物さんたちが集まり始めた。一人一人全員に声をかけ、話をする。しかしどこか上の空。祝辞のことで頭がいっぱいだ。

 

入場

来賓入場。すでに会場には在校生と保護者が待ち構えている。着席すると異様な静けさがある。緊張を超えて恐怖さえ覚える。

 

やがて卒業生が入場してきた。みんなとても良い顔をしている。堂々とした態度だ。

 

着々と進む卒業式

卒業証書授与が始まった。名前を呼ばれると大きい返事をして卒業証書を受け取る。

 

やがて息子の番がきた。立派だった。感動した。しばしの間、緊張を忘れた瞬間だった。

 

いよいよ祝辞が近づいてきた

校長式辞が始まる。校長先生が、式辞の途中で一度つまづいた。人前で慣れている校長先生も緊張している様子。

 

続いて教育委員長の告示。この後市長祝辞、その次がPTA会長祝辞である。

 

市長代理の祝辞がいよいよ終わる。「終わりに、皆さまの前途を祝し、〜」を聞いた時、私の緊張度がMAXになった。

 

「◯◯中学校父母と教師の会、会長、◯◯様よりご祝辞をいただきます」

 

ついに来た!

 

覚悟を決めて

マイクの前に来た。生徒、保護者、教職員、来賓の目が一斉に自分に向く。しかしここまでくると緊張は少なくなり、妙に落ち着いていた。

 

暗記していることが多少の自信になっているのだろう。やや震える手は後ろに組み、生徒たちの顔を見て話し始めた。

 

祝辞全文

祝辞

平成28年度福島市立◯◯中学校卒業生の皆さん、ご卒業、誠におめでとうございます。

また、今日の卒業の日までお子様を慈しみ、育んでこられました保護者の皆様、心よりお祝い申し上げます。

 

さて、卒業生の皆さんに聞いてほしいお話ですが、人は、生まれてくる時に、4つのお土産を持って生まれてくるそうです。

 

まず一つ目、皆さんが私たちの子どもとして生まれてきてくれたことです。皆さんは15年前、元気な産声をあげて生まれてきました。生きるために必死に泣く姿を見て、私たちは、かつてない感動を受けました。やがて歩けるようになり、疲れを知らずに遊びまわり、スヤスヤ眠る皆さんの寝顔を見ることは、毎日の楽しみであり、何にも代えがたいことでした。

 

二つ目のお土産は、皆さんの小学校入学です。大きなランドセルを背負い、元気に学校へ行く後ろ姿を見て、親としての喜びを感じました。

 

クラス全員が百点のテストを嬉しそうに私たちに見せたり、布団に一緒に入り今日習った漢字を天井に向かって一緒に書くなど、本当に楽しい思い出です。

 

三つ目のお土産は、本日立派な態度で卒業証書を受け取った皆さんの晴れ姿です。私たち保護者にとって、皆さんが義務教育を修了すると言うことは、子育ての大きな節目です。よくここまで成長してくれました。今日の皆さんの真剣なまなざしは一生涯忘れません。本当におめでとう。

 

そして最後のお土産は、これから皆さんが進む道で、さらに勉強に励み、やがて大人になって、社会に貢献することです。

 

しかし皆さんのこれからの人生は楽しいことばかりではありません。人生には必ず成功と失敗があります。大事なのは失敗した時です。失敗を引きずらず、反省し、次の目標に勇ましく立ち上がっていけば、必ず未来が拓けます。

 

私たち保護者、今日まで指導してくれた先生方、卒業式を見届けてくれている来賓の方々、ここにいる大人の人たちは、数々の挫折を経験し、それを乗り越えてきた強い人たちです。そして今ここに集まり、皆さんの卒業式を祝ってくれています。

 

つらい経験をするのは自分だけじゃない、誰でもそれを乗り越えるんだ、ということを忘れないでください。試練を乗り越え、人間として一回り大きくなった皆さんに、私たちは私の子どもとして生まれてきてくれてありがとう、最後のお土産をありがとうと心の中で言うでしょう。

 

卒業生の皆さん、どうか健康にだけは気をつけて、新しい世界に大きく羽ばたいてください。

 

卒業生の保護者の皆様、卒業証書を凛とした態度で受けとった子どもたち、本当に素晴らしい卒業生です。今日の晴れの日を迎えられましたこと、重ねてお喜び申し上げます。子どもたちの進路はそれぞれ違いますが、同じ◯◯町に育った、とても仲の良い、素直な子どもたちです。大人になる日を迎えるまで、お互いに力を合わせて見守っていただければ幸いと存じます。

 

校長先生はじめ教職員の皆様、3年間、子どもたちを導いていただき、保護者の代表として、心から御礼申し上げます。勉強、部活動はもちろんですが、家庭ではどうしても甘やかしてしまう部分を、時には厳しく、時には優しくご指導いただき感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

 

お忙しい中ご臨席を賜りました来賓の皆さま、本日まで卒業生に多大なるご支援をいただきまして厚く御礼申し上げます。おかげさまで本日このような非常に素晴らしい卒業式を迎えることが出来ました。しかしまだ人間としては未熟でございますので、今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。

 

最後に卒業生の皆さん、私ごとですが、皆さんの卒業の年度にPTA会長を務めることが出来て本当に幸せでした。特に印象深いのは、広報紙◯◯の写真撮影の時です。いつも最高の笑顔で私に接してくれてありがとう。その笑顔を忘れずにそれぞれの進路先で、自分だけの大きな花を咲かせてください。

 

そして最後の最後にお願いを一つ。卒業式が終わり、ここから退場する時、皆さんの保護者に、上を向いて堂々とした退場を見せてください。泣いたっていい、顔がくしゃくしゃになったっていいんです。私たちは皆さんの気持ちすべてを受け止めます。今日立派に中学校を巣立つあなたたちを見届けるために毎日頑張ってこれたんですから。皆さんは、私たちの生きがいです。

 

ご卒業、本当におめでとう!

 

以上をもちまして祝辞とさせていただきます。

 

平成29年3月13日

福島市立◯◯中学校父母と教師の会 会長 ◯◯◯

 

途中で一度噛んでしまったが無事終了

途中、5秒ほど止まった。頭が真っ白になりそうだった。しかし猛練習のおかげでフッと次の文章が出てきた。

 

後で先生に聞くと、止まったことに気づかなかったようだ。言葉を溜めて話したように見えたのだろう。失敗が逆効果で良い方に転んだようだ。

 

一気に体の力が抜ける

最後に礼をしてステージを降りた。席に戻ると満足感がやってきた。話している間、卒業生は全員目をそらさずに聞いてくれていた。

 

広報紙の写真撮影の話のところでは、何と泣き始める女子生徒もいた。確かに撮影中、生徒たちと話をしたり楽しかった。生徒たちにもPTA広報紙は思い出になってくれたのだろうか。

 

別れの歌を聴く

最後の卒業生の合唱を聞いた。大半の生徒が泣きながら歌っている。小学校卒業とは違い、これからはみんなそれぞれの高校へ行く。会場は大きな感動に包まれた。

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最後の合唱。思い出がこみ上げる。

 

式が終わって

暗記のことを褒められた

式が終わってから、皆さんが「すごかったね。よく覚えたな」「信じられない。そしてすごく良い話だった」と言ってくれた。

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私は緊張を隠すために覚えただけである。大事なのは話の中味。内容を褒められると正直に嬉しかった。

 

子どもたちのためと思えば何でも出来る

自分でも無謀と思った、卒業式で祝辞の暗記。我ながらよく覚えたと思っている。

 

紙を見ながら話すのと、相手の目を見て話すのは全く印象が違う。子どもたちがやがて大人になった時に、この日のことを少しでも覚えていてくれればとても嬉しい。

 

話の内容はともかく、PTA会長が自分たちのために一生懸命何かをやってくれたということを。

 

そして、「子どもたちのために」と思えば、無謀とも思えることも頑張れる自分に気がついた。今考えれば自画自賛で「スゴイ」と思う。あんなに長い文章をよくも…。

 

私の子どもたちが成人するまであと数年。まだ私も40代後半とギリギリ若い(?)今はとにかく仕事と子育てに力を注ごう。